Tokachi Millennium Forest 十勝千年の森 北海道ガーデン

十勝千年の森公式Webサイト

  1. home

波打つ芝が織り成す雄大な庭

波打つ芝の丘が日高山脈と一体となり、圧倒的なスケールを持って目の前に広がります。人が自然の一部なる風景と、遊び心に満ちた空間を演出しています。イギリス・ガーデンデザイナーズ協会The Society of Garden Designers主催SGD Awards 2012でGrand Award(大賞)とInternational Award(国際賞)を受賞しました。

Concept

コンセプト

レストランキサラの前の土地は、雄大な日高山脈を遠景に望む自然環境に恵まれていたが、5ヘクタールの平坦な草地が広がるばかりで、かつては人が散策を楽しむような場ではなかった。
この土地を訪れたガーデンデザイナー、ダン・ピアソンは、山々と丘陵の連なる自然環境にイマジネーションを喚起され、豊かな自然の風景に融け込むランドフォーム(丘)が大地に波打つアースガーデンをデザインした。

ランドフォームの造形美によって人々を広大な大地に導き入れ、心と身体を解放し、さらに向こう側にある自然とのつながりを感じてもらう。
アースガーデンのデザインには、ダンのそんな思いが込められている。

© Dan Pearson Studio

アースガーデンにはふたつの表情がある。
レストランを背にすると、目の前に大小13の丘が連なり、遠くの山系や周囲の森と一体となった雄大な風景が広がる。散策する人が丘の陰に消えては、また現れるといった面白い視覚効果が生み出され、自然の一部となる風景と遊び心に満ちた躍動的な空間を演出している。

反対側に立つと、太陽の光で大地をキャンバスに丘が陰影を描き、丘の法面のグラスが風になびく風景が広がる。
太陽が動くにつれ、陰影が刻一刻と表情を変えるさまを目にすることができる。

光の生み出すドラマティックな風景は一瞬たりとも同じではなく、また見る者の視点に応じて庭は様々に姿を変える。
庭が光をどうとらえるかはアースガーデンの大きな見どころのひとつである。

Design & Construction Process

デザインプロセス

ランドフォームはCUT&FILL(切土と盛土)の工法によって造成され、法面は約45度の勾配を持つ。その角度と
太陽の光によって陰影が生まれる。風が吹けば法面の長く伸ばしたグラスが一斉にそよぐ風景が広がる。
ランドフォームの大きさや高さ、配置、勾配は、ダン・ピアソンと高野ランドスケーププランニングとのコラボレーションによって、綿密に計算され、検討が繰り返された。

高野ランドスケーププランニングのオフィスである廃校になった小学校の校庭にて、20分の1の砂の模型を製作。

2004年に来日したダンとランドスケープアーキテクト高野文彰氏、プロジェクトチームで砂の模型を前に綿密な打ち合わせが行われる。

ランドフォームの配置や間隔、高さなどの詳細を検討。当初はランドフォームの大きさ、間隔が均一的だったため、景観により変化をつけるよう改善していった。

現場にて実際のランドフォームのサイズを確認するダンと高野ランドスケーププランニングのプロジェクトチーム。

時間をかけて何度も検討を重ねてできあがった250分の1の模型によるランドフォームの最終プラン。

ランドフォームが造成されたアースガーデンを歩き、現場を確認するダンとプロジェクトチーム。

遠景に望む「千年の丘」からランドフォームが連なり、大地のうねりによって空間に躍動感が生み出された。

Maintenance

メンテナンス

2008年アースガーデン竣工当時。種子を吹き付けた法面のグラスはまだ十分に育っていないが、3年後、グラスが法面を覆うようになる。

現在では6月と10月の年2回、グラスの倒伏防止と更新のため、根元まで刈り戻している。

グラスの種類は、法面にオーチャードグラス、チモシー、トールフェスクの3種、それ以外の部分にはケンタッキーブルーグラス、ぺレニアルライグラスの2種を育てている。 芝の刈高は27mmに設定。これは芝の生育や密度に理想的で裸足で歩いても気持ちの良い触感を求め、刈高のテストをして決めた。

アースガーデンの芝刈風景は夏の風物詩。
農学博士で芝の専門家である大原洋一氏による芝刈、施肥などの管理が春から晩秋までつづく。

----------
デザイン
Dan Pearson Studio
撮 影
大泉省吾、佐々木智治、高野ランドスケーププランニング(模型写真、現場施工写真)